成年後見申立ての費用及び手続き
成年後見(保佐・補助)の申立ての手続き及び費用に関して説明します。
成年後見の申立ては誰が行えるか?
成年後見の申立ては、次の方が行うことができます。
成年後見の場合
本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官、市町村長、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人
保佐の場合
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人、検察官、市町村長、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人
補助の場合
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、検察官、市町村長、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人
※補助の申立ての場合には、申立ての前提として被補助人になる本人の同意が必要になります。
成年後見の申立の管轄裁判所
本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。住所地とは、原則として住民票の登録地となります。
後見人の候補者
成年後見人には、次の者は就任できません。
1 未成年者
2 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人・保佐人・補助人
3 破産者
4 被後見人に対して訴訟をした者、その配偶者・直系血族
5 行方不明者
上記の者は法律上後見人に就任することができません。
家庭裁判所において成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態・生活・財産の状況、成年後見人になる者の職業・経歴・利害関係の有無や成年被後見人の意見等の事情を考慮されます。
したがって、後見人の候補者として親族を立てたい場合でも、事情により第三者が選任される可能性もあります。
また、親族が後見人に選任された場合でも、第三者である後見監督人が別途選任されることもあります。
第三者が後見人等に選任されると本人の財産から第三者に対して報酬を支払うことになります。
成年後見の申立てに必要な主な書類
1 申立書
2 申立人照会書
3 本人の状況照会書
4 後見人候補者照会書
5 本人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
6 本人の住民票又は戸籍の附票
7 後見人等候補者の住民票
8 本人の登記されていないことの証明書
9 診断書及び診断書附票
※ 診断書を書いてもらうのは精神科等の専門医が望ましいですが、日頃通っている内科医師等の主治医の先生でも問題ありません。
10 療育手帳の写し(知的障害者の場合のみ)
11 財産目録
※ 財産目録に記載した財産や収支を裏付ける資料も必要になります。
12 推定相続人の同意書
13 親族関係図
※ 上記記載の書類等は横浜家庭裁判所において必要な主な書類になります。裁判所によっては若干変わりますので、ご了承くださいませ。
成年後見の申立ての司法書士報酬
司法書士報酬 金8.8万円~金22万円(税込)
※ 川崎市・横浜市・東京都23区内の管轄の家庭裁判所に申立てる場合に限ります。
成年後見の申立ての実費
申立手数料 800円(代理権・同意権の付与は各800円)
郵便切手 3200円(成年後見申立)・4100円(保佐・補助申立)
※ 東京家庭裁判所の場合
登記手数料 2600円
鑑定費用 5万円~10万円
※ 成年後見の場合には不要なケースが多いです。その他戸籍等取得の実費がかかります。
成年後見申立のご依頼・手続きの流れ
①ご相談のご連絡(お電話・メールにて受付)
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②ご相談(ご来所か出張) ※ ご相談のみなら無料です。
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③書類の収集
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④申立書類の作成
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⑤家庭裁判所に申立て ※ 成年後見人候補者・申立人と一緒に行きます。
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⑥家庭裁判所にて調査・審問・鑑定
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⑦家庭裁判所の審判
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⑧家庭裁判所に審判から2週間で審判の確定
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⑨家庭裁判所による登記の嘱託
成年後見の申立てを取り下げたい場合
成年後見の申立てを取り下げるためには、家庭裁判所の許可が必要です。
したがって、後見人の候補者として第三者が選任されるような場合に、「費用がかかるから申立てをやめたい」等の理由で成年後見の申立てを取り下げることは認められません。
成年後見制度は、本人保護や公益性の見地から、本来後見開始の審判をすべきにも関わらず、申立ての取下げにより、事件が終了してしまうことは相当ではないからです。
成年後見の申立てを行う場合には、十分注意しましょう。